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2025.06.10 / トピックス

  • 技術者インタビュー

【追加検証】「10G回線に変えれば全員快適」は本当か?

より高速なインターネット回線として注目される「10G回線」。前回の検証記事では、「1台のPCで10G回線の帯域をフルに使うほどの速度は出ないが、複数PCで利用する際のネットワーク“渋滞”を解消し、全員が快適に使える環境として期待できるのでは」という結論になりました。大容量ファイルを扱うケースやWeb会議も増えており、オフィスの社員全員が快適にインターネットを利用できるならば、10G回線も検討したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、「10G回線に変えたときに、各PCの速度がどこまで変わるのか」を追加で検証。中小企業を中心に、多くの企業で利用されているアライドテレシス製とYAMAHA製、2パターンのルーター+スイッチの組み合わせで、実際に通信速度を計測しました。

【検証環境】 インターネット回線として上下最大10Gbpsのいわゆる「10G回線」と、一般的な1Gbpsの回線を用意して検証を実施。配下にはアライドテレシス、YAMAHAそれぞれの10G対応ルーターとスイッチを使用。PCをそれぞれ1台・3台接続した際の速度を計測しました。

■ 使用機器 ・[アライドテレシス]ルーター:AT-ARX200S-GTX、スイッチ:AT-X240-10GHXm
・[YAMAHA]ルーター:RTX1300、スイッチ:SWX2221P

■ 利用PC ・プロセッサ:Intel(R) Core(TM) i5-1335U 1.30GHz
・実装RAM:16.0GB(15.6GB使用可能)
・システム:64ビット オペレーティングシステム、x64ベース プロセッサ
・LAN 10Gインターフェース:QNA-T310G1T(※)
※標準では10G非対応だったため、インターフェースを追加

■ 速度計測サイト ・SPEED TEST(https://www.speedtest.net/ja)

まずは一般的な「1G回線」で検証

最初は、一般的に企業で利用されている上下最大1Gbpsのインターネット回線で検証をおこないます。PCを1台接続すると、上り831Mbps/下り941Mbpsと帯域を1台でしっかり使えていることが分かります。

ここにPCを追加して計3台に。速度計測サイトでは、計測開始から10秒ほどトラフィックを流すため、負荷が重なるように、並べたPCで極力同時に「開始」をクリックして計測しました。すると、上り318Mbps/159Mbps/443Mbps、下り392Mbps/177Mbps/435Mbpsという結果に。それぞれ合計すると1Gbpsほどとなり、1Gbpsの回線を3台で分けていることが見て取れます。

下図の通り、YAMAHAにおいてもほぼ同様の結果が確認されました。

10G回線ではどうなるか

10G回線の環境では、ルーター・スイッチ間は10Gbpsで接続、PCは1Gbpsで接続します。PCを1台接続した際は、しっかり1Gbps近い速度が出ていることを計測できました。

続いてPCを3台接続して計測したところ、上り898Mbps/948Mbps/895Mbps、下り940Mbps/887Mbps/959Mbpsと、3台とも変わらず1Gbps近い速度が出ています。つまり、3台で1Gbpsずつ利用しても、10G回線ならばインターネット回線がボトルネックにならずに、減速しないと分かります。

下図の通り、YAMAHAにおいてもほぼ同様の結果が確認されました。

■ 10G回線の効果を確実にするための基本ポイント

ちなみに、10G回線利用時に注意したいポイントが2点あります。まずはLANケーブルですが、カテゴリによって対応できる速度が異なり、Cat5e以下では1Gbpsまでしか対応しません。今回のように1Gbpsの設定でリンクアップするならば問題ありませんが、それ以上の速度で利用する際は、Cat6A以上のケーブルを利用する必要があります。

もう1つはルーターの設定です。ポートごとのリンク速度は基本的にオートネゴシエーションで自動設定するケースが多いのですが、まれに正常に認識されないケースがあります。いくら10G対応の機器やケーブルを利用してもこの設定が1Gbpsになっていては意味がありません。確実に10Gbpsで接続できるよう、設定を固定してしまうのも1つの方法です。

10G回線利用時に注意したいポイントについてはこちらでも解説しています。

回線に余裕があれば、PCの減速を避けられる

今回の検証で、アライドテレシス製およびYAMAHA製の両機種で、インターネット回線の帯域をPCで分け合って利用している様子がしっかりと見えました。つまり、接続するPCの台数が増えても、インターネット回線の帯域が広ければ、全員が快適に利用できる、と言えそうです。現在、一般的には70~90Mbpsあると快適に仕事ができると考えられ、企業ごとのPC台数などにあわせて、この数値を下回らないように設計することがポイント。社員増加などで、同時接続するPCが増えていくならば10G回線も有効な選択肢になるでしょう。

10G回線利用にあたっては、下記のような構成が考えられます。

中規模環境では、収容するPCの台数が増えるため、スイッチ・アクセスポイントに上位機種を採用している点が大きな違いとなります。それぞれの規模の目安としてPC台数を挙げていますが、業務内容や扱うデータの種類によって、「PCは30台だが、100台規模の通信量が発生している」ということも珍しくありません。音声や動画を扱うかなど、通信量に注目して構成することが重要です。

ただし、10G回線は1G回線と比較して1.7~2倍ほど高額になるほか、各種ネットワーク機器も含めて対応する必要があるため、コストも考慮して検討する必要があります。コムネットシステムでは、企業ごとの状況にあわせた構成をご提案可能ですので、まずはご相談ください。今回の検証では、アライドテレシス製およびYAMAHA製ルーターそれぞれの特長も確認できましたので、ご紹介します。

<アライドテレシス Tips>
Allied OneConnectでネットワーク機器のクラウド管理が可能に!

今回の検証で利用したアライドテレシスのネットワーク機器は、Allied OneConnectによって、集中管理することが可能です。このサービスは、各拠点のネットワーク構成をクラウド上で一元管理できるだけでなく、構成のバージョン管理や一括更新(対応予定)、バックアップ・リストアなどの機能を備えており、作業の属人化や設定ミスを抑制し、セキュリティと運用品質の両立を実現させます。 特に小規模多拠点でのネットワーク管理に強みを持ち、従来の運用・保守の負担を大幅に軽減されます。

<YAMAHA Tips>
GUIで分かりやすい!管理しやすい!YAMAHAの管理ツール

今回の検証で利用したYAMAHAのネットワーク機器は、管理ツールも特長の1つ。WebベースのGUIで、かなり分かりやすい構成になっています。特筆すべきは、LANマップ機能。どのポートにどんな機器が接続しているのか、機器背面のイメージ上に「リンクアップしているポートは緑」のように表示されるので、一目で状況が分かります。設定も容易で、管理の負荷を軽減できるものですが、独自プロトコルで通信するために他メーカーの機器は管理できない点は要注意。YAMAHA機器で統一することで、効果を最大化できます。

まとめ:10G回線で実現する「みんなが快適」な職場環境

今回の検証で、アライドテレシス製およびYAMAHA製の両機種において、10G回線の効果をしっかりと数値で確認することができました。1G回線では避けられなかった「みんなで使うと遅くなる」という課題が、10G回線によって解消される様子が手に取るように見えたのではないでしょうか。

特に印象的だったのは、3台のPCで同時に計測した際の結果です。1G回線では300~400Mbps程度に下がってしまった各PCの速度が、10G回線では900Mbps近くをキープ。これは単に「数字が良くなった」ということ以上に、「Web会議中に画面が止まらない」「大容量ファイルの共有でイライラしない」といった、日々の業務の質向上に直結する変化と言えそうです。

もちろん、10G回線は従来の1.7~2倍のコストがかかり、対応する機器への投資も必要になります。「本当に必要なのか?」と慎重に検討されるのは当然のこと。ただ、リモートワークやWeb会議が当たり前になり、動画や高解像度の資料を扱う機会が増えている今、「インターネットが遅い」ことで失われる時間や機会損失を考えると、決して高い投資ではないかもしれません。

そして何より、「みんなが快適に仕事できる環境」は、社員の満足度や生産性向上にもつながるのではないでしょうか。働く環境への投資は、数字だけでは測れない価値を生み出すものです。

LANケーブルやルーター設定など、細かな技術的注意点はありますが、適切に構築すれば長期間安定して利用できるのがネットワークインフラの良いところ。今回使用したアライドテレシスとYAMAHA、それぞれに特長のある管理ツールも用意されており、導入後の運用面でも安心感があります。

現在の通信環境に「ちょっとした不満」を感じている企業様は、まずは現状の利用状況を確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。意外と「あと少し帯域があれば」という状況かもしれません。

コムネットシステムでは、企業ごとの業務内容や規模に応じた最適な構成をご提案いたします。「うちの場合はどうなんだろう?」と感じられましたら、お気軽にご相談ください。きっと、皆様の職場がもっと快適になるお手伝いができるはずです。

まとめのポイント

■ 検証結果

  • アライドテレシス・YAMAHA両機種で10G回線の効果を実証
  • 3台同時利用でも各PC約900Mbpsをキープ(1G回線では300-400Mbps程度に低下)

■ 業務への実感できる効果

  • Web会議中の画面フリーズが解消される可能性
  • 大容量ファイル共有時のストレス軽減が期待できる

■ 投資コストは現実的な範囲

  • 1G回線の1.7~2倍程度のコスト
  • 対応機器への追加投資は必要だが、長期利用を考えると合理的

■ 技術的な注意点もクリア可能

  • LANケーブルはCat6A以上が必要
  • ルーター・スイッチの設定に若干の配慮が必要
  • 適切に構築すれば快適な職場環境に

■ 働く環境への投資としての価値

  • 社員満足度向上への寄与が期待される
  • 数字では測れない生産性向上効果も

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