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2026.07.06 / コラム・Blog

SCS評価制度とは?中小企業に求められるセキュリティ対策と「現実的な対応の考え方」

SCS評価制度とは?中小企業に求められるセキュリティ対策

SCS評価制度は、サプライチェーン全体のセキュリティ対策を評価する新たな制度として注目されています。今後は、大企業だけでなく、中小企業にも一定水準のセキュリティ対策が求められる場面が増えていくことが予想されます。
一方で、「何から取り組めばよいのか」「すべての項目に対応しなければならないのか」と、不安や疑問を感じている企業も少なくありません。SCS評価制度への対応では、評価項目を一つひとつ確認することではなく、自社の現状を整理し、優先順位を付けながら現実的に取り組むことが重要です。

この記事では、多くの企業のICT環境をご支援してきた経験を踏まえ、SCS評価制度の概要や求められる対策、運用の考え方、現実的な進め方について分かりやすく解説します。

1. SCS評価制度とは何か

SCS評価制度は、企業のセキュリティ対策状況を★(星)で評価する制度です。サプライチェーン全体で一定水準のセキュリティ対策を確保することを目的としており、2026年度末の制度開始が予定されています。
★3は約80項目、★4は約150項目以上の評価基準で構成され、「対策を導入しているか」ではなく、「どのレベルで実装し、継続的に運用できているか」が評価されます。

そのため、制度対応では製品を導入するだけでなく、継続的に運用できる体制を整えることが重要になります。

2. なぜ中小企業も対象になるのか

SCS評価制度は、一部の大企業だけを対象とした制度ではありません。サプライチェーン全体を対象としているため、発注元から取引先へ一定水準のセキュリティ対策を求める動きは、今後さらに広がることが見込まれています。
そのため、「うちは中小企業だから関係ない」と考える企業もあるかもしれませんが、実際には発注元から対策を求められるのは、多くの場合、受注側の中小企業です。今後は★3以上が実質的な標準となり、「取引を続けるために求められる」要件になっていく可能性があります。

SCS評価制度は単なる評価制度ではなく、企業間の信頼を支える共通基準として、その重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。

3. SCS評価制度でまず押さえたい4つの技術領域

SCS評価制度ではさまざまな評価項目が設けられていますが、技術的な対策は大きく「ネットワーク」と「セキュリティ」の2つの領域に整理できます。その中でも、まず押さえておきたい基本的な対策が、次の4つです。

SCS評価制度で押さえたい4つの技術領域(ネットワーク防御・認証・エンドポイント・パッチ管理)

ネットワーク領域

① ネットワーク防御:外部からの不正アクセスや通信を制御する対策です。ファイアウォール、IPS(不正な通信を検知・遮断する機能)、Webフィルタリングなどが含まれます。

セキュリティ領域

② 認証の強化(多要素認証):ID・パスワードだけに依存しない認証方式です。VPNやクラウドサービスへのアクセス時に、多要素認証(MFA)などを利用します。

③ エンドポイント保護:PCやサーバーをマルウェアや不正な挙動から保護する対策です。EDR(PCの異常な動きを検知するセキュリティ対策)などによる挙動監視や、セキュリティソフトによる保護が含まれます。

④ 脆弱性・パッチ管理:OSやソフトウェアを最新の状態に保ち、既知の脆弱性を放置しないための対策です。

4. どこまでカバーできればよいか(対応マップ)

SCS評価制度では、ネットワーク対策やセキュリティ製品の導入だけでなく、運用、ログ管理、バックアップ、組織的対策まで幅広い対応が求められます。そのため、評価項目を一つひとつ確認するよりも、対策を領域ごとに整理し、自社で対応する領域と専門サービスを活用する領域を切り分けながら進めることが現実的です。

以下は、SCS評価制度で求められる主な対策領域を整理したイメージです。

領域 主な内容 取り組みの位置づけ 検討・運用上の留意点
ネットワーク防御 FW / IPS / 通信監視 製品の選択肢が多く、優先的に整備しやすい基本領域 導入後も設定の妥当性確認、通信ログの定期確認、ファームウェアの更新管理を継続することが重要
認証(MFA) 多要素認証 不正ログイン対策の中核で、標準的に導入でき優先度が高い領域 対象サービスと利用者範囲を定めたうえで、運用ルールと認証ログの確認体制を整える必要がある
エンドポイント EDR / マルウェア対策 PC・サーバー保護の基本対策として比較的整備しやすい領域 導入だけでなく、検知後の対応・アラート確認・運用体制まで含めて設計する必要がある
パッチ管理 脆弱性対応 既知の脆弱性を放置しないための重要対策で、ツールで整備しやすい領域 更新状況の確認、適用可否の判断、適用結果の記録(証跡)が継続的に必要
運用 監視・対応・ログ確認 制度対応の実効性を左右する中核領域で、最も重要だが継続が課題 人手・体制・記録管理の負荷が高く、属人化を避け無理なく継続できる仕組みづくりが鍵
ログ管理 保存・分析 運用状況を確認・証明するための基盤領域 何を・どの期間・どのように保管し確認するかを設計し、定期的な確認運用まで定着させる必要がある
インシデント対応 初動対応体制 被害拡大を防ぐために事前整備が欠かせない領域 連絡体制・判断基準・初動手順を事前に決め、組織として動ける状態にしておく必要がある
バックアップ データ復旧 事業継続の観点からあわせて検討すべき領域 ネットワーク防御とは役割が異なり、保管方法・復旧手順・復旧テストまで含めて検討する必要がある
IT資産管理 機器・ソフト管理 現状把握と継続的な管理の前提となる領域 ツール導入だけでなく、資産の棚卸しや変更管理の運用ルール整備が必要
SaaS可視化 クラウド利用把握 今後重要性が高まる管理領域 利用サービスの把握と管理対象の整理を前提に、シャドーIT対策が今後の課題になりやすい
組織的対策 方針・教育 技術対策だけでは補えない、組織として取り組むべき領域 セキュリティ方針の策定・社内ルールの整備・教育訓練などを継続的に整備する必要がある

多くの企業のICT環境をご支援する中でも、製品は導入できていても、ログの確認や更新、証跡管理などの日常的な管理が十分に行われていないケースは少なくありません。
SCS評価制度では、こうした継続的な管理も評価対象となります。そのため、技術的な対策を導入することと同じくらい、無理なく継続できる運用体制を構築することが重要です。

5. このマップから分かること

マップ全体を見てみると、すべての領域を一度に整備する必要はないことが分かります。重要なのは、自社で優先的に取り組む領域を整理し、段階的に対応を進めることです。

SCS評価制度における優先的に取り組む対策とあわせて検討したい対策

まず優先的に取り組みたい領域

  • ネットワーク防御:外部からの攻撃を防ぐ基本的な対策です。
  • 認証(多要素認証):不正ログイン対策として優先度の高い領域です。
  • エンドポイント保護:PCやサーバーを保護するための基本対策です。
  • パッチ管理:既知の脆弱性を放置しないための重要な対策です。
  • 運用(最も重要):導入した対策を継続し、評価につなげるための基盤となります。

あわせて検討したい領域

  • バックアップ(データ保全・復旧):ランサムウェア対策としても重要な領域です。ネットワーク対策とは役割が異なるため、事業継続の観点からあわせて検討することをおすすめします。
  • IT資産管理:PCやサーバー、ソフトウェアなどの資産を適切に管理するための仕組みです。専用ツールの導入だけでなく、運用ルールの整備も重要になります。
  • SaaS・クラウドの可視化:利用しているクラウドサービスを把握し、適切に管理するための取り組みです。今後さらに重要性が高まると考えられます。
  • 組織的対策:セキュリティ方針の策定や社内ルールの整備、教育・訓練など、技術対策だけでは補えない取り組みです。

重要なのは、すべての対策を一度に整備することではなく、自社の現状に合わせて段階的に対応を進めていくことです。

6. 見落とされがちなポイント:「運用」が評価される

優先的に取り組むべき対策を整理したうえで、特に意識したいのが「運用」です。SCS評価制度では、製品を導入していることだけではなく、導入した対策が継続的に運用され、適切に管理されているかどうかまで評価されます。

例えば、次のような項目が評価対象になります。

  • ファームウェアは適切に更新されているか
  • ログを保存・確認しているか
  • 認証ログを定期的にモニタリングしているか
  • アラートへ適切に対応できているか
  • ネットワーク構成図を最新の状態に保っているか

これらは一度対応すれば終わるものではなく、継続的な確認と管理が必要な項目です。日々の運用を無理なく続けられる体制を整えることが、SCS評価制度への対応につながります。

7. なぜ「運用」が最大の課題になるのか

運用の重要性は理解できても、それを継続することは簡単ではありません。特に中小企業では、限られた人員や業務負荷の中で、ネットワークやセキュリティ対策を継続して管理していくことが大きな課題になります。

実際には、次のような課題を抱える企業も少なくありません。

  • 専任のセキュリティ担当者がいない
  • 日々の業務に追われ、対策が後回しになってしまう
  • ログや更新履歴などの記録(証跡)が残っていない
  • 担当者しか分からない属人的な運用になっている

多くの企業のICT環境をご支援する中で感じるのは、ネットワークやセキュリティ製品は導入できていても、その後の更新やログ確認、証跡管理などの日常的な運用まで継続できていないケースが少なくないということです。

SCS評価制度で求められるのは、一時的な対策ではなく、こうした運用を継続し、その状況を証明できることです。そのため、製品を導入することと同じくらい、ネットワークとセキュリティを含めたICT環境全体を無理なく運用できる体制づくりが重要になります。

8. 対策の進め方(現実的アプローチ)

SCS評価制度への対応は、新しい製品を次々と導入することから始まるものではありません。まずは自社の現状を整理し、優先順位を付けながら段階的に進めることが現実的です。

STEP 1:現状把握

現在どのようなセキュリティ対策を導入しているのか、どこまで運用できているのかを整理します。製品だけでなく、更新状況やログ管理、運用体制まで含めて確認することで、自社の現状を客観的に把握できます。

STEP 2:ギャップ把握

SCS評価制度で求められる内容と比較し、不足している領域や運用できていない部分を把握します。現状とのギャップを見える化することで、優先的に取り組むべき課題が明確になります。

STEP 3:優先順位設定

すべてを一度に対応する必要はありません。現状と課題を整理したうえで優先順位を付け、自社で対応する領域と専門サービスを活用する領域を切り分けながら、段階的に進めていきます。

制度対応で最も重要なのは、「完璧を目指すこと」ではなく、「継続して運用できる体制を築くこと」です。ネットワークだけでなく、認証やエンドポイント保護、運用まで含めたICT環境全体を整理し、自社に合った形で段階的に整備していくことが、継続的な制度対応につながります。

9. よくある質問

Q. すべての評価項目に一度で対応しなければいけませんか?

いいえ。制度で求められる評価基準への対応を見据えながらも、一度にすべてを整備する必要はありません。まずは現状を整理し、自社に必要な対策から計画的に進めることが現実的です。

Q. バックアップもSCS評価制度の対象になりますか?

バックアップは、ランサムウェアなどの被害から事業を復旧するために重要な対策です。ネットワーク防御とは役割が異なるため、事業継続の観点からあわせて検討することが重要です。

Q. 何から取り組めばよいでしょうか?

まずは現在の環境を整理し、どの対策が実施できていて、どこに不足があるのかを把握することから始めましょう。現状を見える化することで、優先順位を付けやすくなります。

Q. 組織的対策とは何を指しますか?

セキュリティ方針の策定や社内ルールの整備、従業員への教育・訓練などが該当します。技術的な対策だけでなく、組織として継続的に取り組む体制を整えることも重要です。

10. まとめ

SCS評価制度への対応で重要なのは、次の3つです。

  • 必要な技術対策を整えること
  • 継続的に運用すること
  • 運用状況を証跡として残すこと

SCS評価制度の開始を背景に、企業に求められる対策は、ネットワークだけではなく、認証やエンドポイント保護、運用まで含めたICT環境全体へと広がっています。

私たちは、こうした変化に対応するためには、ネットワークとセキュリティを切り離して考えるのではなく、一体的なICT環境として捉えることが重要だと考えています。その考え方のもと、自社で対応する領域と専門サービスを活用する領域を整理し、無理なく継続できる体制を構築することが、これからのSCS評価制度への対応につながると考えています。

SCS評価制度対応をご支援します

MALUTOでは、ネットワークに加え、多要素認証(MFA)、エンドポイント保護、運用支援など、SCS評価制度を見据えたICT環境全体のご支援を進めています。

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まずは現状を整理することから、一緒に始めてみませんか。

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