一時の温泉ブームにうまく乗って客足が伸び、「大江戸温泉物語」に一種のブランド性が醸成されてきたものの、お台場1箇所だけでは商圏は限られるため、ビジネス面ではどうしても頭打ちになることが懸念される。宇都宮氏は「前年比で見ると来客数はやや落ちていますから、将来的にも顧客を飽きさせない営業展開を行なう必要があると思っていました。また、全国に大江戸温泉物語のブランドを活かしていかなければならないと考えています」と述べる。そこで、同社の会長が提唱したのが、地方にある温泉旅館を買い上げ、大江戸温泉物語ブランドで再生する湯屋(極上の温泉宿)構想である。
「これは大江戸温泉物語がプロデュースするという形で、各地の温泉旅館をチェーンストア化するものです。現在は君津の森(千葉)、伊香保(群馬)、会津(福島)、日光(群馬)、鹿教湯藤館(長野)、下呂(岐阜)など6箇所あり、近々ここお台場まで含めると全部で9拠点になります。こうなると、本社で業務上のオペレーションを集中管理する形態にならざるをえません。そこで本社と拠点を結ぶネットワークが必要になりました」といい、同社に拠点間接続の必要性が生じた。当初は会計システムの運用会社と大江戸温泉物語本社を結ぶネットワークの構築を計画していたが、湯屋(極上の温泉宿)構想を実現するにあたって、会計部門を本社で一元的に担当することが望ましいということになり、各拠点を束ねるデータ通信網が必要になった。
この拠点間接続では、顧客や会計の情報を本社に一元化するだけでなく、複数の温泉宿での予約を一元化するという役割も持っている。「各温泉宿で予約を取るのか、予約をコールセンターで一元化するのか。私たちは、人件費や効率性を考え、会津にコールセンターを作って、そこで予約を一元的に受けることにしました」という。
宇都宮氏がシステムインテグレータである株式会社コムネットシステムに最適なネットワークサービスを相談し、比較検討の末、選ばれたのがNTTコミュニケーションズの「Group-VPN」である。「各拠点で入力された重要な会計情報が流れるので、セキュリティに不安のないネットワークを求めていました。また、遠隔にある拠点の情報でも、スムースに利用できるパフォーマンス。その結果選んだのが、閉域網によるセキュアなネットワークの導入が低コストで実現できるブロードバンドVPN『Group-VPN』でした」と宇都宮氏は語る。
もちろん、セキュリティだけではなく、今後ビジネスを拡張していくうえで、柔軟性の高さという点も重要視した。たとえば、各地の大江戸温泉宿は東京近郊に集まっているわけではなく、地理的にも離れている。また、地方の郊外にある可能性も高い温泉宿という性格上、どこでも光ファイバーの回線が引けるわけではない。近々、北海道や佐渡の温泉宿も大江戸温泉物語の傘下に入ることになるので、こうしたところでも利用可能なネットワークでなければならない。こうした点から考えると、アクセス回線にBフレッツやフレッツ・ADSL、フレッツ・ISDNなどマルチに対応できる「Group-VPN」の提供エリアの広さは魅力的だ。また、フレッツ網がダウンした際のバックアップ回線として、アッカ・ネットワークスのADSL回線を利用することも可能だ。こうした点から、2007年から急展開で「Group-VPN」の導入が開始された。
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